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――我々が求めているのは、このような音楽ではない!――
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770−1827)は、9番目の交響曲を作曲するにあたって、過去の作品を全否定した。演奏時間70分を超える、従来の常識を破る長大な交響曲第9番ニ短調「合唱付」の、第1楽章から第3楽章までは、ベートーヴェンがそれまで作ってきた交響曲の集大成だ。しかし、彼はそれらすべてを、人生をかけて蓄積してきたすべての音楽を、第4楽章の冒頭で完膚無きまでに完全否定する。「我々が求めているのは、このような音楽ではない!」
やがて聞こえてくるのは、シラーの詩をテキストにした「歓喜の歌」だ。
――抱擁し合え、無数の人々よ、この接吻を全世界に与えよう――
弟子だったシントラーによると、最終楽章を作曲しているときベートーヴェンは、「勝った! 勝った!」と叫んでいたという。何に勝ったというのだろう? このころのベートーヴェンは聴覚障害がひどくなり、ほとんど聞こえない状態だった。幾多の苦難を乗り越えて音楽を創造してきたベートーヴェンが、最後の最後にシラーの詩を自作に用いたことは、「音楽の敗北」と「言葉の勝利」ではなかったのか? 音楽表現を突き詰めたあげく、ついに音だけでは表せない世界の壁にぶち当たり、壁を乗り越えるためのパワァを言葉に求めたのではないのか? 当時は、交響曲に人声を加える習慣はなかった。あえて慣習を破ってまで合唱(言葉)を加えたのは、彼の理想とする世界が、音楽だけでは手に余るほど巨大だったからだろう。
最終楽章は、「愛」と「平和」によってもたらされる「歓喜」を歌いあげたあと、オーケストラが滅茶苦茶なスピードで天上へと飛翔し、その頂点で唐突に終わってしまう。そこから先は、音楽や言葉では表現不可能な、ただ無上の歓びだけが、無限に広がっているということなのだろうか?
いづれにせよ、ベートーヴェンの「第9番」が、音楽史上不滅の金字塔であることは間違いない。
彼の死後、多くの作曲家がこの巨峰を乗り越えようと挑戦を試み、170年後の現在に至るまで、まだ誰もそれを達成できないでいる。もしベートーヴェン本人が長く生きながらえていたとしても、「第9番」を超える作品は生み出せなかっただろう。
初演は1824年、ウィーンのケルントナートーア劇場にてベートーヴェン自身の指揮により行われた。初演は大喝采で幕を閉じたが、これまでの交響曲の常識を覆す構成と規模の作品であったため、その後は演奏される機会に恵まれなかった。第1〜第3楽章だけの変則演奏はあったらしい。
1872年、「バイロイト歌劇場」が建設される際に、定礎の記念コンサートで、リヒャルト・ワーグナーの指揮によって演奏されたことにより再び脚光を浴び、今日の人気へと繋がっている。バイロイトはワーグナー・オペラ(楽劇)専用の歌劇場であったが、唯一、ベートーヴェンの「第9番」だけが演奏を許可された。この「第9番」をレパートリーとしたのがヴィルヘルム・フルトヴェングラーである。
1963年に48歳の若さで逝去したフェレンツ・フリッチャイ指揮の「第9番」。ステレオ初期の録音のわりに音質は良好。たっぷり気味の第3楽章は、フルトヴェングラーのバイロイト盤に拮抗する出来で、その美しさは聴くたびにため息がでる。第4楽章のソリストにディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが参加し、「このような音楽ではない!」は他のディスクにない説得力。フィッシャー=ディースカウだけを目当てに購入しても満足できる1枚。
「エグモント」序曲が同時収録されている。
第2次世界大戦後に再開されたバイロイト音楽祭の、オープニングで演奏されたときの実況盤。古いモノラル録音なので音質は良くない。最終楽章の合唱も歌詞が聞き取りにくく、何を言っているのか分からないくらいだ。演奏も、テンポが崩れ破綻しているところが随所にみられる。それでもこのレコード(CD)が持つ熱気や迫力、美しさは、他のどんな優秀録音盤よりも強靱に伝わってくる。平和を取り戻したドイツ民衆の歓び、という当時の背景を抜きにして聴いても、圧倒されてしまう。
ベートーヴェンの「第9番」自体が毀誉褒貶ありながらも交響曲の金字塔であるように、このディスクもまた、数々の欠陥を内包しながらも、不朽の名盤であり続けるだろう。但し、ここでの演奏は極めて個性的なものであり、スタンダードな演奏ではないので、この1枚だけを聴くというのは、偏向した鑑賞法だと思う。
1977年から79年にかけてライヴ録音されたバーンスタイン指揮ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲全集(Grammophon)は、バーンスタインにとってもウィーン・フィルにとっても代表作と呼ぶに相応しい高水準の内容で、数ある交響曲全集のなかでも抜きんでて評価の高いセットである。特に「第3番(英雄)」「第6番(田園)」「第9番(合唱付)」が素晴らしい。このディスクほど歌手がしっかりしていて破綻のない、それでいて白熱した第4楽章はなかったのではないか。
現在は、「エグモント」序曲や「レオノーレ」序曲第3番などの序曲集も含めたCD6枚組でリリースされている。LP時代には2万以上していた全集が、いまではその時の半額以下で手に入る。とりあえずベートーヴェンの交響曲を一揃い聴いてみたい、という方に強くお薦めする。
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